第1回 まずSDGsから考えてみよう

 みなさん。SDGs(エス・ディー・ジーズ)って。ご存知でしょうか。国連が掲げる持続可能な17の開発目標のことで▽貧困をなくす▽飢餓をゼロに▽すべての人への健康な生活と福祉の推進──など。同じ星に生きるだれもが、より持続可能な公平で幸せな未来を切り開いていくための道筋、青写真といってよいものです。それでは、なぜこんな話を今回コラムの最初に持ってきたのかと言えば、です。私たちの【脱原発社会をめざす文学者の会】の存在と活動こそが持続可能な幸せな世界創出をめざす先頭集団であるから、なのです。

 SDGsの目標は、ほかに▽質の高い教育▽ジェンダー平等▽安全な水とトイレ▽エネルギー社会のクリーン化▽経済成長▽産業と技術革新の基盤づくり▽人や国の不平等をなくす▽安全なまちづくり▽つくる責任 つかう責任▽気候変動対策▽海の豊かさを守る▽平和と公正を全ての人に▽パートナーシップによる達成、から成ります。なんとステキな内容なのでしょう。でも、少し考えてみてください。言うは易く行いがたし、で世界の人々が、これら一つひとつの実現達成にいかに悩み、苦しんでいるかを、です。私たちは、それでも前に向かって一歩を進めねばならないのです。

 ではこれから私たちは、どんな道を歩いて行ったらよいのか。めざす脱原発社会が実現すれば、その分▼安全な環境▼豊かな海▼平和な世の中…が、近づきます。とはいえ、目の前には多くの壁が立ちはだかっています。では、どうするか。ここで私たちは歩みを止めてはなりません。原発の事故発生に伴う汚染処理水の海洋投棄問題はじめ、先が見えない廃炉の中で闘い続ける原発作業員の苦悩、令和に入り浮上した新型コロナウイルスまん延によるパンデミック(感染爆発)もあり、これからどう生きていけばよいのか。ひとつ間違ったら人類と自然の生態系を破滅させてしまう点では原発も原爆も同じです。

 最近、ある新聞に「東電福島第1原発事故により全町民の避難が続く福島県双葉町で事故後初となるコメの試験栽培が始まった」との記事を目にしました。除染した水田に県産ブランド米「天のつぶ」の苗が植えられ、農家は「当たり前のことが戻りつつあることがうれしい」と話していましたが、収穫後は放射性セシウムが国の基準値を下回るかなどを確認し全量廃棄する、とありました。この現実を私たちはどうとらえたらよいのでしょうか。

 琵琶湖を美しくしたのは粉せっけん運動を始めた主婦たちの力からでした。海にマイクロプラスチックを流さないよう。人間にかえってくるのだから。脱原発社会はむろんのこと、ちいさな、ちいさな運動の積み重ねが明るく豊かで幸せな未来を切り開くことになれば、と願いつつ。これから月一シリーズで問題点を洗い直していけたら、と思います。(2021/6/1)

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