加賀乙彦さんを悼む 深澤 忠利

 心より哀悼の意を表します。
 会にご縁ができてはや十年になります。先生の著作の帰らざる夏~他の作品も何度か手に取らさせて頂きました。脹大で重厚なテーマ名作に少しでも触れました ことは幸運でした。作品から先生の偉大な存在感が私を圧倒させて近寄りがたい存在となってしまいました。只ひとつ、先生と忘れられぬ思い出が有りました。数年前のある会合の席で先生と何かの拍子で医療関係の話でニ、三のやり取りをさせて頂きました。一般成人の肉体一キロgにどの程度の血液が滞留しているかとの話と記憶しています。先生はワインを少し召し上がられたか、大変ご機嫌でした。私の答にそうだそうだよ正解だよ❗️と私の手を両手で覆いその手を上下させてニコニコした顔で私を私を暖かな目で見詰めてくださいました。先生の温かく柔かな手の温もりは今でもハッキリ覚えております。寒い帰路気分を高揚させていた私はわづかな時間ではありましたが顔に当たる冷たさも忘れる至福の時間でした加賀先生ありがとう御座いました。

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