第11回〝文学サロン〟 『牧野富太郎』を語る 上山 明博(ノンフィクション作家) 2023.08.18 今年のNHK連続小説「らんまん」の主人公のモデルとなった牧野富太郎。ドラマ化発表以前の2021年より取材を開始した著者は、牧野博士に関する膨大な資料を渉猟し精査する一方、生まれ故郷の高知・佐川から終の棲家となった東京・練馬の居宅跡まで、関係各所を訪ねた。そうした2年におよぶ丹念な取材調査を通して
「東日本大震災追悼式 2023年3月11日(土) 未来への手紙」 報告 野武 由佳璃 (写真著者) 2023.06.22 ふたひらの戀文開く蝶の風 波高し揺れて片寄せ花筏 2018年3月11日の追悼式でタイムカプセルに入れた未来への手紙がポストに届けられた。 そこから5年の月日が流れた葉書は各参列者のもとへ。 そこに綴られたシラコバト団地に住む避難者の皆さんの想いが静かに発酵し、遥かな空へ立ち
森詠の2023沖縄報告いま沖縄で何が進められているのか? 2023.03.26 一、2・26抗議集会 ロシアがウクライナに侵攻して一周年にあたる二月二十四日、私は沖縄の地を訪ねていた。 二月十一日「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」(共同代表ダグラス・ラミス)から、沖縄県庁前広場で開催される2・26集会に向けての緊急のアピールが出されていた。 ダグラス・ラミスは、元アメリ
シンポジウム報告 連載 文士刮目22回 ロシアのウクライナ侵攻1年に思う【マスクと反撃能力、原発いつまでも】 伊神権太 (アイキャッチ画像 今、文学者として何ができるか。熱心に話し合う登壇者たち。著者撮影) 2023.02.26 (マスクを)外す。外さない。卒業式ぐらいは素顔で。外すかどうか、は自己判断で。 新型コロナウイルスの感染拡大第8波が収束に向かいつつある中、春の卒業、入学、就職シーズンに入り、誰もがマスクをどうするかで、心を痛めている。だれがこんな時代にしてしまったのか。そんなことを頭に私はさる2月23日、天瀬
談話 民衆の敵 脱原発文学者の会幹事会 2023.01.27 ヘンリック・イプセンの戯曲に『民衆の敵』がある。温治場として潤っていた村の医師トマスは、温泉が毒物で汚染されていると気づいて公表しようとするものの、「村の利益」のためと、兄の村長に阻まれる。トマスは新聞に論文を発表する手筈を整え、反撃に出ようとするが、温治場の関係者は、村長から、温泉の改良に大金
第 2 回 脱 原 文 学 大 賞 2022.06.12 2011年の震災から10年を区切りに、われら「脱原発社会をめざす文学者の会」は、昨2021年新たに文学賞を設けることにしました。10年間には真摯に災害と向き合った文学作品が数多存在し、その結果、フィクションとノンフィクションの部門で各3作品に対して顕彰しました。 今回はこの1年間(202
脱原発社会をめざす文学者の会「黒田杏子特選俳句作品」 2022.02.25 『永瀬十悟句集 三日月湖』 永瀬十悟 コールサック社 2018年永瀬十悟 来年創刊百年を迎える福島県須賀川市の俳誌「桔槹(きっこう)」同人。若くして句作の道に入り、高校生達を俳句の道に導き、「原発」と人間を句作を通して考え続けてきている。「福島県文学賞」俳句部門の選者、「福島民報」俳壇の選
「脱原発社会をめざす文学者の会」文学大賞決定 2022.02.25 東日本大震災から十年。日本の蒙った三度目の原子力災からも十年。この間、果敢に、言葉を信じ、文学の力で、この災厄と向き合った表現者たちがいた。私たちは、その試みを顕彰したいと思い、ささやかながら文学賞を創設した。『脱原発社会をめざす文学者の会』文学大賞である。もとより、原子力災と取り組んだ