書評 アジアに生きる〜村上政彦著『結交姉妹』 上山 明博 2023.10.26 会員の著書 『結交姉妹』村上政彦著2022年8月30日発行鳥影社1,600円+税 文字を用いることを許されなかった女性たちがいたことを、浅学をさらすようだが私はこの本を読んではじめて知った。 中国湖南省江永県の一部の地域に、女性が文字を用いることを良しとしない特異な風習があった。そのため、そ
連載 故郷福島の復興に想う 第12回 ――福島県立双葉高校創立100周年記念 谷本 多美子(アイキャッチ画像 双葉高校の現在) 2023.10.26 連載 昨年、母校福島県立双葉高校の後輩から「来年は母校創立100周年記念祝賀会を予定しているから、ぜひ出席を」と連絡をもらった。「万障繰り合わせて参加します」とそのときは答えていた。後輩は母校の同窓会本部の会長でもあり、退職前の三年間は母校の校長でもあった。2011年3月11日から、母校は立ち入ること
講演とシンポジウム「ウクライナの核危機――林京子を読む」報告 文学者たちの眼差し 村上 政彦 2023.10.19 イベント その眼差しは、常人の眼差しと、どう違うのだろうか? 2月23日に神奈川近代文学館で催された講演とシンポジウム「ウクライナの核危機――林京子を読む」を振り返ってみたい。 当日、横浜は青空が広がっていて、海も穏やかに凪いでいた。神奈川近代文学館は港の見える丘公園の中にある、静かな佇まいの施設だった
連載 原発の蔭と影第12回 九州電力と玄海原発 天瀬 裕康 2023.10.19 連載 しばらく休んでいた電力会社と原発の話に戻しましょう。 北海道から始め中部電力まで下がってきましたが、関西電力は3回ほど書きましたので四国を予定したところ、これも「会員の原稿」として「瀬戸内海を死の海にするな! 伊方原発の場合」を書いておりました。広島の中国電力は少し詳しく書きたいので後に回し、九
書評 詩による評伝~天瀬裕康詩集『林京子の反核世界』 谷本 多美子 2023.10.12 未分類 『林京子の反核世界』天瀬裕康著2023年2月1日発行溪水社1,320円+税dav 天瀬裕康氏の、『林京子の反核世界』は、林京子と核状況下の現状について、三章からなる「詩による評伝」と前書きにある。以前天瀬氏より、俳句、短歌、漢詩、自由詩で3.11から10年を詠んだ混成詩『麗しの福島
書評 人間の生きた時間~橘かがり著『女スパイ鄭蘋茹の死』 森川 雅美 2023.10.05 会員の著書 『女スパイ鄭蘋茹(テンピンルー)の死』橘かがり著2023年3月15日発行徳間文庫720円+税 「鄭蘋茹」の名前を聞いて、あの人物かとすぐにわかる人は多くはないだろう。私自身、不勉強ながら今まで知らなかった。実際「参考文献」を見ても、一次資料といえるものは少なく、「鄭蘋茹
連載文士刮目 第29回 世界の緊迫に思う 何ごとも油断大敵だ 伊神 権太(写真:世界各地の酷暑、森林火災を報じた朝刊) 2023.10.05 連載 18年ぶりにセ・リーグ優勝したプロ野球の阪神タイガース。岡田彰布(おかだあきのぶ)監督待望の「アレ」の日(9月14日)を迎えた大阪市。ここでは、今回も道頓堀川の戎橋(えびすばし)周辺で翌15日午前3時までに感極まったファン26人が川に飛び込んだ。『過去には死者も出ており、市や警察が禁止を呼びかけ