おもいで 北久保 まりこ 2024.01.06 240108075617487酌み交はす和やかな輪に旅立ちし人も加はる信濃追分 しなの鉄道の小さな駅から散歩がてら行った所に、ひっそりとした蕎麦屋がある。 お姉さんに、胡桃蕎麦と冷酒をたのむと「明鏡止水、ありますよ」。無愛想ながら私の好みを覚えていた。 静かに注がれ、表面張力をこえ
黒田杏子さんのこと① 森川 雅美 2023.08.04 3月18日突然の訃報が新聞に掲載される。俳人黒田杏子さん急逝の記事。私は2年ほど前に黒田さんを俳句の師と定めていたため、突然の死は大変ショックだった。11日に山梨県で「飯田龍太」に関する講演をし、翌日甲府市内で倒れ入院し、13日には帰らぬ人となった。 俳句結社「藍生」を主宰し、現在最も活躍してい
森と海のあるところ 加賀乙彦氏を想いながら 野武 由佳璃 2023.05.25 加賀乙彦氏を想いながら、南米チリの友人レイナルド ピネーダの唄を少しだけ紹介します。 森に棲む小さきものたちの声が大きな波となって、世界を変える。そんな願いを込めて。"森と海のあるところ" 森がある 海がある 君の身体に描かれる その額に広がる もう一度生まれ直す なにか 僕
山本源一さんとアントニオ・タブッキの想い出 野武由佳璃 2023.05.18 山本さんとの最初お会いした頃の話題は、イタリアの作家アントニオ タブッキではじまった。ちょっぴり変てこな小説で"インド夜想曲""供述によるとペレイラは“ とるに足らない小さな違い"などタイトルもいいセンスでたくさん作品がありなかなかいいのだ。山本さんは読書家でよく読んでいてこれらは不可思議な質感
励ましと、お叱りと 広谷 鏡子 2023.04.06 加賀乙彦さんのことを、私は一方的に「恩人」と思ってきました。ほろ苦いエピソードをご紹介します。 もう30年近くも前、私は大学時代に初めて書いた小説を改稿して、ある文芸誌の新人賞に応募し、どういうわけか最終選考に残りました。審査員の一人が加賀さんでした。その小説は「箸にも棒にもかからない」ものだっ