幸福への帰還~大熊町と双葉町を尋ねて 野武 由佳璃(写真はすべて著者による) 2024.10.31 観音や石の眼開く蝉時雨面杖(つらづえ)の夢見し浄土西瓜割 大熊の地名に関係する「熊」の付く人名が、南北朝時代の史料にある。浪江町の仲禅寺に伝わる十一面観音像の胎内銘(像に刻まれた文字)に、1343(康永2)年6月6日の日付と、仏像の寄進に関わる人名の「熊女」。室町時代の標葉氏(しねはし)の
報告 たどり着いた街で~東日本大震災追悼式 野武 由佳璃 2024.04.25 三日月や眉描き終えて桜花俤(おもかげ)や浦の小面(こおもて)春めきぬ 2024年3月11日(月)に晴れ渡る空の下東日本大震災の追悼式が埼玉県上尾市の龍山院で行われた。 参列者は約30名ほど、「脱原発社会を目指す文学者の会」より詩人の森川雅美氏と野武由佳璃で参加した。 花々
福島の郷土の歴史を残すために 野武 由佳璃 2024.02.22 麗らかや潮騒を聴く空貝(うつせがい) 2019年(平成31年)3月9日の朝日新聞の"ひと"という欄が気になって切り抜きをした。 福島第一原発周辺の郷土史を編む歴史学者西村慎太郎氏の話題である。 彼は国文学研究資料館(東京都)の准教授で専門が日本近代史である。 著書に『大字誌浪江町権
映画評 津波裁判 を闘った人達”生きる” 野武 由佳璃 2024.02.01 ドキュメンタリー"生きる"が東工大の学生達の協力により昨年上映された。 これは宮城県石巻市で起きた津波の記録である。 2011年3月11日に起きた東日本大震災で宮城県の大川小学校は唯一校多数の犠牲者を出した。この大惨事を引き起こした理由を知りたい親達は石巻市と宮城県を被告にして
「東日本大震災追悼式 2023年3月11日(土) 未来への手紙」 報告 野武 由佳璃 (写真著者) 2023.06.22 ふたひらの戀文開く蝶の風 波高し揺れて片寄せ花筏 2018年3月11日の追悼式でタイムカプセルに入れた未来への手紙がポストに届けられた。 そこから5年の月日が流れた葉書は各参列者のもとへ。 そこに綴られたシラコバト団地に住む避難者の皆さんの想いが静かに発酵し、遥かな空へ立ち
まんまろの月や象牙の聴診器~林京子氏と文芸評論家黒古一夫氏の対談DVD作品上映会 野武 由佳璃 2022.12.01 ひんやりとした旧式の聴診器が肌にあたるたび火傷した皮膚が震える。1945年8月9日。被災者の身体に残された傷は記憶する。 長崎に原爆が落とされた日のことを皆は忘れない。さらに被爆することの意味をこの時理解できた人は何人いたであろうか。生きとし生けるものは皆焼かれ苦しみうめく人々の姿がそ
2011年3月11日から10年 2021.02.15 指五本かざす空四つ春隣廃炉とは夏の祭りの遠き音 神は言葉を持って天地を創造したというが、我々人間は言葉を持って科学を進めて神に近づいていった。様々な記号の羅列。新幹線や航空機のスピードは古代の人々の想像を超えたものだと思う。 小さな試験管の中で蠢く胎児や、遺伝子まで組み替える技術まである。