書評 黒田杏子さんの一周忌に想う~『黒田杏子の世界』刊行委員会編『花巡る 黒田杏子の世界』 野武 由佳璃 2024.06.07 書評 『花巡る 黒田杏子の世界』『黒田杏子の世界』刊行委員会編2024年3月13日発行藤原書店3,300円+税夏蜂の般若波羅蜜多花抱(かか)う 由佳璃鮎焼きて俳句塩振るや、かな、けり 2022年3月13日飯田蛇笏,龍太の講演を終えた後、黒田杏子さんが脳内出血による意識不明の
書評 文学という水先案内人~村上政彦著「ぶら〜り 文学の旅」 広谷 鏡子 2024.02.29 会員の著書 『ぶら~り文学の旅 』村上政彦著2023年1月31日発行鳳書院1,500円+税 コロナ禍は多くの不自由を世界中の人たちに強いたが、その一つは“旅”であったろう。表面上はコロナが明けたかに見えるこの一年ほどの間、旅を封印されたストレスが猛烈な勢いで、各地で発散されているのをみればわか
書評 絶唱〜伊神権太著『あたし帰った かえったわよ: 一匹文士小説集』 村上 政彦 2024.01.25 会員の著書 『あたし帰った かえったわよ: 一匹文士小説集』伊神権太著2023年10月15日発行人間社1,800円+税 ブンヤ稼業に身を置いて、愛妻と共に渡世してきた一匹文士・伊神権太の最新創作集だ。5作の短篇からなるが、どれも主人公は作者と思しき男とその妻。若い頃の妻は、腰まである長い髪、愛
書評 偶像に血を通わせるノンフィクションの力〜上山明博著『牧野富太郎: 花と恋して九〇年』 村上 政彦 2023.11.09 会員の著書 『牧野富太郎: 花と恋して九〇年』上山明博著2023年3月14日発行青土社2,200円+税 萩原朔太郎の友人がいった。「小説は、嘘を本当のようにいうことだろう」。彼は、友人の文学的知見の浅さを嘆いていった。「小説は、本当のことを嘘のようにいうものだ」。 本当のことを嘘のようにいう―
書評 アジアに生きる〜村上政彦著『結交姉妹』 上山 明博 2023.10.26 会員の著書 『結交姉妹』村上政彦著2022年8月30日発行鳥影社1,600円+税 文字を用いることを許されなかった女性たちがいたことを、浅学をさらすようだが私はこの本を読んではじめて知った。 中国湖南省江永県の一部の地域に、女性が文字を用いることを良しとしない特異な風習があった。そのため、そ
書評 詩による評伝~天瀬裕康詩集『林京子の反核世界』 谷本 多美子 2023.10.12 未分類 『林京子の反核世界』天瀬裕康著2023年2月1日発行溪水社1,320円+税dav 天瀬裕康氏の、『林京子の反核世界』は、林京子と核状況下の現状について、三章からなる「詩による評伝」と前書きにある。以前天瀬氏より、俳句、短歌、漢詩、自由詩で3.11から10年を詠んだ混成詩『麗しの福島
書評 人間の生きた時間~橘かがり著『女スパイ鄭蘋茹の死』 森川 雅美 2023.10.05 会員の著書 『女スパイ鄭蘋茹(テンピンルー)の死』橘かがり著2023年3月15日発行徳間文庫720円+税 「鄭蘋茹」の名前を聞いて、あの人物かとすぐにわかる人は多くはないだろう。私自身、不勉強ながら今まで知らなかった。実際「参考文献」を見ても、一次資料といえるものは少なく、「鄭蘋茹
書評 怖い透視と想念の詩集~森川雅美詩集『疫病譚』 天瀬 裕康 2023.09.07 会員の著書 詩集『疫病譚』森川雅美著2023年6月30日発行はるかぜ書房2,000円+税 当会会員の森川雅美氏はすでに名のある詩人だ。三詩型交流企画「詩歌梁山泊」の代表で、活動の一環として「詩客SHIKAKU」を立ち上げており、「日歴史時代作家協会」理事でもある。詩集も5冊出版しており、『日録
書評 貴婦人の指青白き敗戦忌~天瀬裕康詩集『閃光から明日への想い—―我がヒロシマ年代記 my Hiroshima Chronicle』 野武 由佳璃 2023.08.31 会員の著書 詩集『閃光から明日への想い—―我がヒロシマ年代記 my Hiroshima Chronicle』天瀬裕康著2023年8月6日発行コールサック社1,600円+税貴婦人の指青白き敗戦忌 野武由佳璃廃墟過ぎて蜻蛉の群れを眺めやる 原民喜原爆ドーム(著者撮