今年「脱原発者社会をめざす文学者の会」は4人の会員を失った。
会の主柱として会長を勤めていた、現在日本の最も重要な作家の一人だった加賀乙彦さん。会の実務全般を支えてくれた編集者の山本源一さん。会を陰ながら支えてくれた、現在の俳句の中心の一人でもあった黒田杏子さん。さらには、地味ながら愛知県で戦争体験を伝えつづけた長谷川園子さん。加賀さんと長谷川さんは90歳を越え、黒田さんも80代、山本さん以外は高齢だったが、会にとって大きな痛手という他ない。
だいぶ前になるが4月28日に「4人を偲ぶ会」を行った。
会員と親しい者だけの20人くらいの会で、献花や遺影もないささやかな会だったが、書籍や写真、遺品などを持ちあって皆で思い出を語るアットホームながら良い会だった。
まず、森詠さんが愛憎こもごもの加賀さんを語り、ただ褒めるよりも深い愛情を感じさせる。続いて森川の黒田さんの思い出と作品に関する一考察および、悼む自由詩の朗読。歓談の後、中村敦夫さんが俳優らしく実にリアルに山本さんの思い出を語り、会場を湧かせる。最後に、伊神権太さんがあまり知られない長谷川さんの仕事を紹介。加えて、山本さんの遺族が私たちの知らない素顔の山本さんを語り、他にも多くの人が故人について思い出を披露する。
短歌の朗読や歌もあり、新たな出発となるにぎやかに偲ぶ会だった。