文士刮目の連載57回目(最終回) あなたのところは大丈夫ですか 伊神 権太(フロント写真 1月23日午後の解散を報じた同日付の日本経済新聞夕刊)

 世界と日本の潮流が右に左に、と大きく揺れ、動いています。単なる一過現象で終われば良いのですが。場合によっては、世界の平和、そして日本社会までが様変わりしてしまいかねない、そんな危機感を抱くのは私だけでしょうか。日本はむろん、世界中が希望と平和、安全に満ち溢れた世の中になってくれたのなら、と思うのですが。実は、反対の方向に動いていきかねない。そう危惧するのは、私だけでしょうか。と同時に世界のどこにあっても大国の論理で平和が脅かされることがあってはなりません。世界の安全と平和、人類の融和を死守することこそが、被爆国日本に課せられた最大の使命ではないでしょうか。

 具体的にはアメリカのトランプ大統領によるベネズエラの大統領を拘束するという突然の軍事作戦とこれに続くグリーンランド領有発言があげられます。また日本国内では高市早苗内閣の電撃解散表明とこれに伴う立憲民主・公明両党による新党「中道改革連合」の結成、そして中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働審査を巡るデータ不正。燃料制御棒のトラブル発生による東電柏崎刈羽原発6号機(新潟県)の再稼働延期。ほかにも福井県の杉本達治前知事のセクハラ文書による辞職など信じられない不祥事、さらには茨城県水戸市で起きたネイリスト女性殺人など日常茶飯事ともいえる凶悪事件の続発、相次ぐ山林火災など。昨年の熊出没騒ぎに続き、この世の中、ことしも新年早々から相も変わらず、目まぐるしく、そこには目を覆いたくなるような事件、事故が渦巻いているのです。一体、この世の中はどうなってしまうのでしょう。

2月8日の投開票と柏崎刈羽の再稼働延期を報じた1月20日付の中日(東京)新聞

 ならば私たち市民、いや国民はこうした国内外の変動著しい世の中で、どう生きていけば良いのか。何もかもが激変する世の中で日々をどう過ごしたらよいのか。新しい年が1カ月を過ぎたところで、胸に手を当て考えてみることも大切かと思います。そこで、まずは米トランプ大統領によるベネズエラ攻撃ですが。昨年ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者マチャド氏が1月15日に米ホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と会談。彼女は会談後、なんと受賞時に授与されたノーベル平和賞のメダルをトランプ氏に贈呈。「トランプ政権による1月3日のベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領拘束がノーベル平和賞に値する」とたたえ、トランプ氏も自身の交流サイトでメダルを譲渡されたことを「実にすばらしい心遣いだ」と話した、というのです。
 ノーベル賞のメダルが受章者本人から別人に贈られるなど、前代未聞といってよいですが、この行為がよかったかどうかとなると、今後の米国×ベネズエラ情勢がどうなるか、にかかっているとも言えます。

 そして。日本国内に目を向ければ、です。中電のデータ不正問題のその後です。中電ともあろう企業がなぜデータ不正などという基本的な過ちを、それも恣意的に冒したのか。暴挙としか思えません。不正といえば、ほかにメガソーラーによる景観悪化や廃棄物問題など環境破壊のリスクの指摘など。次代を担う自然エネルギーの世界でも、悪行が指摘されています。この際、携わる人全てが考えを改めて「明るく幸せ、かつ安全な」ニッポン創造に邁進して頂けたら、と願います。

 ということで過去、5年にわたって連載を続けた本欄【文士刮目】の執筆を、ここで上野の双子のジャイアントパンダ、レイレイとシャオシャオの旅立ち(1月27日)にあわせて。また人類の新しい挑戦でもあるリニア中央新幹線の無事誕生と原発事故や戦争のない平和で幸せな世の中の到来を願いつつ、今は亡き私の尊敬する三鬼陽之助さんのことば「あなたのところは、大丈夫か」を添え本欄・伊神権太の長期連載【文士刮目】を終えることにいたします。それでは。みなさま。お元気で。 伊神権太記(2026/2/6)

三鬼陽之助さんの著書「危ない会社 あなたのところは、大丈夫か」(サンケイ新聞社出版局発行)」

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