2022年11月18日、北朝鮮は日本海に向け大陸間弾道ミサイルを発射しました。これは北海道沖・日本の排他的経済水域内に落下し極めて危険ですが、その後も発射を続けております。
他方プーチンのロシアは、ウクライナ侵攻の前に日本(北海道)襲撃を考えていた、という話もあります。1945年8月9日の旧ソ連軍による突然の満洲攻略を思い起こしますと、ロシアによる突然の北海道襲撃も、杞憂に過ぎぬと言いきれぬものがあるかもしれません。
ロシアに侵攻されたウクライナでは発電所が壊され、極度の電力不足がおこりつつあります。日本が襲撃された場合はどうなるでしょうか? 軍隊による迎撃体制のことは別の機会にゆずるとして、電力問題、原発関係はいかがでしょうか?
北海道の電力は、もっぱら北海道電力株式会社によって賄われています。
この会社は札幌市に本社を置き、北海道や首都圏で電力の小売り事業や発電事業を行っています。設立は1951年5月1日。略称は北電(ほくでん)又はHEPCO(HOKKAIDOU Electric Power Co. Inc であり、道電なども使われますが、ここでは北電を使用することにしましょう。
昭和44(1969)年9月、北海道・札幌通商産業局・北電の三者協議により北海道初の原発建設予定地が、共和・泊(とまり)地区に決定され、昭和58(1983)年3月に「共和・泊1・2号機建設計画」が国の電源開発基本計画に組み入れられました。日本では珍しい内陸部原発となるはずだったのです。
ところが昭和53(1978)年9月、なぜか北電は予定地を内陸部から沿岸部の古宇(ふるう)郡泊村大字堀株(ほりかっぷ)村の海岸へ変更し、電気出力59.9 kW を2基(いずれも加圧水型軽水炉、PWR)にすると発表しました。ここは積丹半島の日本海側の付け根に近い場所にあり、絶景を誇る神威(かむい)半島の南です。
地元では多くの論議が起きましたが、結局、地元町村長の同意が得られています。この辺りを掘り下げると小説のネタが出てきそうですが、先を急ぎますと1号機は平成元(1989)年に、2号機は同3(1991)年に営業運転を始めます。そのうちに3号機増設の話がもちあがりますが、反対意見も少ないものではありません。
そこで平成12(2000)年3月、エネルギー施策をテーマにした北海道庁主催による「道民のご意見を聞く会」が泊村・札幌市・旭川市・函館市・帯広市で開催されましたが、3号機増設へ向けて北電による「やらせ」がありました。これだけでなく事故隠しの「うそ」も散見されます。
すでに平成3(1991)年4月には、1号機の低圧タービンの静翼309枚の溶接部分に亀裂が発見されましたが、地元に連絡されたのは5日後でした。平成15年9月には2号機の1次冷却水が漏れ、運転停止。平成17年5月には、発電所のフェンスを越えて山菜加工業者とアルバイトらが敷地内に不法侵入、24名が逮捕されました。テロ対策強化を訴える発端の事件になりましたが、平成21(2009)年12月には3号機が営業運転を開始しました。
平成23(2011)年3月11日には、東日本大震災と東電福島第一原発(以下、イチフクと略す)事故が発生しており、泊原発では4月に1号機が、8月には2号機が定期検査に入っています。
住民が北電に廃炉などを求めて提訴したのは、2011年の11月でした。翌12の2月には第1回の口頭弁論が行われ、5月には3号機が定期検査に入りましたので、全機が停止したことになりますが、11月には住民らが追加提訴しました。さらに13年7月には、11年のイチフクの影響で原発の新規制基準が施行され、北電は再稼働を申請します。その後も反対運動は続いていたものの、21年7月には原子力規制委員会が、敷地内の断層は活断層ではないとする北電の主張を了承しました。
これにより北海道における反対運動は挫折したかに見えましたが、22年5月31日、札幌地裁が全3基の運転差し止めを命じる判決を下したのです。判決の骨子は運転を禁止した他、津波に対する安全性汚基準を満たしていないこと、北電の立証終了時期の見通しが立たぬこと、廃炉まで必要な具体的な事情は見出せぬことなどで、使用済み核燃料の危険性は認めたものの原告側の撤去請求は棄却していますが、10年半の反対運動の中で初めての画期的な判決です。北電は「承服できない。速やかに控訴の手続きを行う」とのコメントを出しましたが、2014年に関電大飯原発の再稼動を認めなかった樋口英明元判事は、裁判所が独自に判断した意義は大きいと評価しています。
ところで2021(令和3)年10月17日、ロシア軍はウラジオストク沖の日本海で露中合同軍事演習を行ない、今年の5月6日には、ロシア太平洋艦隊のコルベット艦が、日本海に設けられた訓練用水上標的を撃破しております。日本が外交ルートを通じ抗議したにも拘らず9月1日から1週間、ボストーク(東の意)と呼ばれるロシア軍の大規模な軍事演習に中国・ベラルーシなども参加し、3日目にはロシアのフリゲート艦3隻、中国のミサイル駆逐艦3隻日本海の「航行警報海域」である北海道の神威(かむい)岬沖190㎞のあたりで機関銃射撃を行っています。
この神威岬というのが積丹郡積丹町の神威岬だとすると、心配のタネがまた一つ増えます。泊原発の所在地である古宇郡泊村大字堀株村は積丹半島の日本海側の付け根にあるからです。防衛省によりますと、その後これらの艦艇は宗谷海峡を通ってオホーツク海に入った由です。
ウクライナに侵攻したロシア軍は、ザポロジエ原発を砲撃しました。泊原発は大丈夫でしょうか。風力発電・地熱発電などの場合は、その部分だけの修復ですみます。しかし原発では、放射能汚染が四方に拡がります。原発は怖いものなのです。
伏魔殿「うそ」に「やらせ」の電力界 ことに原発、北電もまた
ザボロジエの原発砲撃これ即ち 原爆投下とゼ大統領想う
カムイ沖にて射撃演習の露中軍 ホリカップの3基は安全なりや
(2022.12.3)