

げんしのし35 森川 雅美
薄く削がれる鼓動の輪郭をなぞる今生の反射する指を、
生命の傷から溢れる深い流れの絶え間なくなお溢れよ、
と重なる静かな歩幅の内まで拡がる掠れた残像の階も、
生命の傷から溢れる深い流れの隙間に覗く幾つもの顔、
に綴られる歩幅をゆるく加える高低にやや傾く響きと、
生命の傷から溢れる深い流れの弱まる風圧の方からの、
薄く削がれる鼓動の輪郭をなぞる今生の反射する指を、
生命の傷から溢れる深い流れの底の転がる石に届けよ、
と剥がれいく瘡蓋の渇きに接続する真っ直ぐな道路も、
生命の傷から溢れる深い流れの訪れる錯綜を隔つ真横、
の風音へと消える静かだった失われた時間からの影と、
生命の傷から溢れる深い流れの尽きぬ泡を晒す淀みの、
薄く削がれる鼓動の輪郭をなぞる今生の反射する指を、
生命の傷から溢れる深い流れの襞に綴る輝きに触れよ、
と重なる微かな息の継ぎ足される方に弾け飛ぶ液体も、
生命の傷から溢れる深い流れの亀裂から立ち上る酸素、
も四方に拡がる掌の握る風速を少しずつ測り続けると、
生命の傷から溢れる深い流れのうすい色へ移る刹那の、
薄く削がれる鼓動の輪郭をなぞる今生の反射する指を、
生命の傷から溢れる深い流れの少しずつ揮発する間よ、
と上書きされる思い出の歪になる接点より崩れる水も、
生命の傷から溢れる深い流れの結われる肌へと続く頬、
をゆっくり過る微かな祈りのため小さな骨を捧げると、
生命の傷から溢れる深い流れの少しずつくねる地平の、