文士刮目の連載53回目 自民総裁選「日本の顔」に期待するもの、とは 伊神 権太(写真(フロント)は5氏の争いを報じた新聞各紙)

 石破茂首相の退陣表明を受けての自民党総裁選が9月22日に告示され、小林鷹之元経済安全保障担当相(50)、茂木利光前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市早苗前経済安保相(64)、小泉進二郎農相(44)の5氏が出馬、総裁選の勝者が一体誰になるのか。国民の注視を浴びています(新総裁は10月4日に選出され決まります)。
 各種報道によれば、5氏はテレビなどによる所見発表演説会や日本記者クラブ主催の討論会などでそれぞれの政策や見解を示していますが、首相就任時の早期衆院解散には皆、否定的な立場で現実に目の前に迫っている物価高対策はじめ減税問題など当面する課題につき見解を論じている点が目立ちます。具体的には▽子育て世代を含めた現役世代支援のための所得税減税の提唱(小林氏)▽増税ゼロの政策推進と地方が自由に使える地方交付金の創設(茂木氏)▽経済成長のための規制緩和推進と低・中所得者を支援する新たな制度導入(林氏)▽給付付き税額控除を導入、財政出動や減税の財源として赤字国債の追加発行を容認。ガソリンや軽油の暫定税率廃止に向けての臨時国会での法改正(高市氏)▽物価高対策や社会保障など国民の関心が高い政策に関し野党にも幅広く呼びかけ合意を模索する(小泉氏)―などといった具合です。
 そんなわけで、演説会などでは連日、▽適材適所の人材配置▽解党的出直し▽野党との連携▽外国人対策……、といった表現が目立ちます。各候補とも、やる気満々で期待できるのではとの思いにかられるのも事実です。

解党的出直しを制するのは誰か=NHK画面から

 ところで今回総裁選で忘れてならないのは、少数与党として政権運営をどう安定させていくか。その道筋を示す必要があることで、石破政権のように政策ごとに連携相手を変えるにしても、野党の協力なしでは新政権は立ち往生してしまいます。このため、候補者が野党に秋波を送る異例の展開になっているのも(23日付東京新聞・核心)これまた事実で、自民総裁選の結果がどうなるのかが、国民の間では関心を持ってみられている、と言えましょう。
 ――というわけで、どの候補者にとっても野党との協力関係、連立拡大をどこまでつかみ取るか、が鍵となります。具体的には小林さん、茂木さん、小泉さんが所得税非課税枠「年収の壁」178万円までの引き上げと社会保険料引き下げ(国民民主党、日本維新の会)を、高市さんは同178万円までの引き上げ、社会保険料の引き下げ、税と社会保障の一体改革(国民民主、日本維新、立憲民主)を、林さんは首都機能を代替する副首都構想、税と社会保障の一体改革(日本維新、立憲民主)といった具合です。

 そして。今回見過ごせないのは、女性初の自民党総裁、首相が生まれるか。この点を国民の多くが注視していることです。「大和は国のまほろば」。その美しい奈良から日本初の女性首相が誕生するかどうか。関心があることは事実です。そして。それとは別に、です。忘れてならないことは、どの候補もエネルギー確保面でのノーモア事故、中でも原発事故ゼロへの姿勢を貫いてほしいことです。このところ少し挫折した感がある「太陽光」や「風力」発電への見直しなど自然エネルギーの安全確保も大切です。
 各候補には東日本大震災発生時に起きた、あの悲惨極まる福島第一原発事故を教訓にノーモア福島を胸に安全なエネルギー政策に徹底してほしい、ということ。これは福島原発事故に遭った人々だけでなく、日本国民全員の願いでもあるのです。原発事故ゼロへの誓いは、日本国民が生きていくうえで、戦争のない平和な日本維持とともに欠かせない。とてつもなく大切なことであることだけはお忘れなく。

 最後に日本記者クラブ主催の立候補者討論会などでの各候補の一番訴えたいことを以下に列挙しておきたい。「頑張れば報われる」という実感を。世界の真ん中にニッポンを(小林)「国民の求める結果を出す」何より成長だ。経済の好循環を(茂木)経験と実績で未来を切り拓く。夜明け前が最も暗い。でも、夜明けは近い(林)戦略的な危機管理投資で経済成長へ! ニッポンを世界のてっぺんへ(高市)インフレ対応型物価を上回る経済運営。ガソリンの暫定税率の廃止。2,030年に手取り100万円増やす(小泉)。
 さあて。次の日本の新しい顔には、だれがなるのか。誰がふさわしいのか楽しみですよね(2025/10/3)

総裁選候補と主要野党との政策関係図。中日(東京)新聞23日付の<核心>紙面から

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