連載文士刮目第42回「この国を みんなで変えなければ」 伊神 権太(写真 被団協のノーベル平和賞を報じた各紙)

 今回は、まず何より先に日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞を祝福したい。と同時にその一方で相変わらず戦闘が続くイスラエルによるガザ攻撃とハマスとの終わりなき戦い、さらにはイラン、ヒズボラ、シリア……など他の中東諸国を巻き込んでの混迷化、そしてロシア軍に1万人もの北朝鮮軍派兵を巻き込んでの戦争が続くウクライナ、ロシア戦争の泥沼化を憂い、平和を願う一人の人間として抗議したい。

 さて。これとは別に、日本国内では衆議院選挙での自民党の大敗=自民65減の191(公示前は256)立件民主党148(同98)=により与党・無所属の221に対し、野党・諸派・無所属が244に急接近、急増し自公の議席数が過半数割れした事実だといえようか。(ちなみに定数は465。過半数は233)。

「衆議院総選挙で自民党は大敗」10月28日付の新聞


 というわけで、世界は私たちが住む日本も含め、どこもかしこも、大きな激流の中にあり、私たちは今こそ、政治も社会も経済も、文化も……何もかもがかわる岐路に立たされている。このところは、そんな実感に憂える毎日です。皆さんの気持ちは、いかがでしょう。
 その政治改革ですが、自公過半数割れという結果、すなわち大敗に終わった自民党政権の今後が注目されていますが、一方で【自公過半数割れの衆院選は政治のあり方を再考する機会になる(29日付の毎日新聞余録)】との見方も確かにできます。

 いやいや、これまでの自民党政権がこの先どうなるか、とは別に今こそ裏金政治などあらゆる面でこれまでの不正な政界を大きく改めるべきで、その時がとうとうやってきたーといった方がよいでしょう。選挙による変換はむろんのことですが、危機こそチャンス到来というか、日本の社会を、政治をよくする絶好のチャンスが到来したと私は思うのですが。いかがでしょう。
 裏金政治というか。腐敗した政治からの脱却。これは当然のことです。そして。まず何よりも、日本は、このたびのノーベル平和賞の受賞を機に核禁止条約の加盟国の一員として顔を連らねるべきだ、と思うのです。広島、長崎と世界で唯一の被爆国である日本。ましてや、被団協がノーベル平和賞に輝いた日本としては当然、批准国の一員として顔を連らねるべきではないでしょうか。

 私は妻が病で亡くなる数年前に平和を願って、彼女の依頼で友人、知人に折っていただいた千羽の折り鶴を胸にふたりで広島を訪れ、原爆少女禎子の像を前に手を合わせ「世界に平和が訪れますように」とノーモア戦争を心から祈ったものでした。また、これより先に家族そろって訪れた長崎の摩文仁の丘では 英霊の御霊が眠る「平和の礎(いしじ)」の霊を前に、ここでも「ノー、モア戦争」を願い、手を合わせた日が懐かしく思い起こされます。それだけに、長年地道な平和活動を続けてきた今回の被団協へのノーベル賞授与は、今後の世界平和を守るためにもとても意義があり、嬉しく思っています。

 ところで、何もかもがかわる、いや変えるとは。どんなことでしょう。政界の裏金問題などといった不正のない世の中にすることはむろんのこと、戦争のない平和で豊か、かつ世界中の誰もがしあわせな社会をグイと手元にたぐり寄せる、そんなことではないでしょうか。
 いずれにせよ、自公の与党は過半数の233議席を割り込みました。こんご政権を維持するためには、連立政権の拡大はじめ法案や予算案など案件ごとに協力する「パーシャル(部分)連合」を視野に入れた多数派形成が必要になる事だけは確かです。
 今回、選挙前の議席を4倍の28議席に大躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表は自民党と公明党の連立政権への参加を改めて否定。「選挙で約束した手取りを増やす、国民の懐を潤す経済政策の実現へ、やるべきことは全てやりたい」と語っています。

 さあ、どうするか。石破茂さん(自民党総裁、首相)。野田佳彦さん(立民代表)。そして今回選挙で大勝した国民民主党の玉木雄一郎さん。国民は皆、息をのんであなたたちの行動を見守っています。そして石破さん。あなたは今回の選挙を【ニッポン創生選挙】だと位置づけ「国民を信じ、勇気・真心をもって真実を語り、日本をもう一度みんなが笑顔で暮らせる国に」と強調、野田さんも【政権交代こそ、最大の政治改革】だと言っておいででしたよね。
 こんごの政治家諸氏の頑張りを期待しています。

(2024/11/1)

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