連載自由詩 げんしのし33 森川 雅美

ふっくらと広がっていく光の粒粒の呼吸にゆるく傾き、

生命の傷から溢れる深い流れのいく筋も輻輳し重なり、

無数の支流をなお孕みつつ織りなされる縄に似た強い、

生命の傷から溢れる深い流れの起伏となる艶めく方に、

連呼する声の無数の乱反射の奥にまでいつまでも晒し、

生命の傷から溢れる深い流れのより遠い綺羅まで緩み、

ふっくらと広がっていく光の粒粒の呼吸にゆるく傾き、

生命の傷から溢れる深い流れの沈潜する方角へと育ち、

風景の記憶の静かな夕暮の先に拡がる安らぎをなぞり、

生命の傷から溢れる深い流れの晒される体よりも薄い、

木霊するささやかな手触りに解体する広がりの奥処に、

生命の傷から溢れる深い流れの綻びていく予感を戻し、

ふっくらと広がっていく光の粒粒の呼吸にゆるく傾き、

生命の傷から溢れる深い流れのぎりぎりの抑揚を掴み、

片側だけ静まる眼底に少しずつ淀む古い悲しみに穿ち、

生命の傷から溢れる深い流れの波打つ動きまでも弱り、

内側から崩れる地に刻まれる汚れの拡がる方向に伝い、

生命の傷から溢れる深い流れのより濾過される毒素に、

ふっくらと広がっていく光の粒粒の呼吸にゆるく傾き、

生命の傷から溢れる深い流れの底から割れる空に兆し、

浮遊する細胞の消えない痛みを伴う振動の重みを包み、

生命の傷から溢れる深い流れの溢れる囁きの襞に満ち、

外側へさらに浸透する形を失いつつ意識の底まで滞り、

生命の傷から溢れる深い流れの萌す時まで諸諸と集い、

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