加賀乙彦氏を想いながら、南米チリの友人レイナルド ピネーダの唄を少しだけ紹介します。
森に棲む小さきものたちの声が大きな波となって、世界を変える。そんな願いを込めて。
“森と海のあるところ”
森がある 海がある
君の身体に描かれる
その額に広がる
もう一度生まれ直す なにか
僕の髪に触れているのは
降りしきる雨だった
僕は君の愛を 決して
取り替えはしない
磯の香りも 海の味もしな
つまらないものと
何度か つまづき
愛することを 覚えた
1人歩きながら 君に出会った
森がある 海がある
きみの瞳に
沈みゆく太陽
大切なものを 手放してはいけない
繰り返すあやまち 争う人々
哀しみ 列車を待つ移民の群れ
歴史の彼方 愚かな巨人の様に
ひざまづく
夜 そしてまた夜
傷ついた動物達
進軍する兵士達 森は焼かれ
海は汚れてゆく
僕たちの故郷
この森と 美しい海
夜そしてまた夜に
抱かれる
そう僕たちの棲むところ
森と海のあるところ
レイナルド ピネーダ 野武由佳璃(翻訳)
少し違訳を加えました。
”森と海のあるところ”は南米チリのフォークシンガー レイナルド ピネーダが教えてくれた歌です。小さなバスに揺られギターを弾いてお金を稼ぐのが仕事でした。チリには雄大なタムコの森がありますがその森をチリ人は民衆の木と呼び大切にしています。ピノチェト時代の軍事政権を生き抜いた彼らの誇りでもあります。
そしてこんな時代に生きゆく私達と重ねつつ後半を創作しました。
初めてお会いした頃加賀乙彦氏は、脱原発と言う考え方はとても大事だと教えてくれました。そして作家として表現するものは必ず哲学をもっていたほうがいいよとワインを片手に語ったものです。時にシャンソンを唄う。まるで水を飲む様に人生を謳歌する人。元気でお茶目で永遠に若く素敵な加賀さんの心を胸にこれからも繊細な日本の森や海を大切にしてゆきたいと思います。