ひろしま避難者の会「アスチカ」からの郵便物の発送元には<福島県外避難者生活再建支援拠点 島根県・広島県・山口県担当>と印刷してあります。そして2021年に発行された『広島に避難してきた私たち』には、福島県県外避難者帰還・生活再建支援補助金を受けて発行した、と記してあります。ここに述べようとしているのは、県外への避難者に対する福島県の支援体制のことだと、ご理解ください。
避難者の支援に直接タッチしているのは、福島県庁の企画調整部 避難地域局・避難者支援課ですが、交流や相談支援として次のようなことをしています。
1.避難者の多い都府県には福島県職員(駐在員)を設置し、避難先自治体との連絡調整や避難者からの相談対応等に当たっています。14都府県の駐在員は10名で、巡回対応を含んでいます。秋田県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県、大阪府です。
2.関東各(都)県、山形及び新潟県には県外復興支援員を設置し、上記の県職員(駐在員)とともに、避難者への戸別訪問等を行なっています。
3.県外避難者からの相談対応や、福島県の支援策に関する情報提供とか交流会を行う拠点、
生活再建支援拠点を全国で26ヵ所に設置しています。北海道、秋田、山形、宮城、福島、群馬、栃木、埼玉、千葉、新潟、石川、山梨、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、京都、大阪、鳥取、岡山、広島、愛媛、福岡、宮崎、沖縄です。日本には1都1道2府43県で計47の都道府県がありますから、広島が山口・島根両県も担当しているように、複数の県を担当しているところがある、ということでしょう。
県内には「ふくしまの今とつながる相談室toiro」を設置し、避難者が抱える課題に対応しています。
4.支援に関する連絡を密にするため、「東日本大震災支援全国ネットワーク(JNC)」と連携し、復興支援員や生活再建支援拠点の活動を側面的に支援(研修等)しています。
5.避難者支援団体への助成としては:県外避難者支援を行う団体、すなわち、避難先での安心した暮らしや、将来の帰還や生活再建つながるような取り組みを行う団体を支援します。県内避難者や帰還者支援を行う団体に関しては、繋がりや生きがいを持つための取組を行う団体を支援します。
6.県外避難者の心のケアのため、相談窓口を開設し、避難先の臨床心理士会等の協力を得て、相談支援をおこなっています。また日本精神科看護協会他に委託し、「ご自宅健康相談」として、看護師等の専門職による戸別訪問での心のケアも実施しています。
避難者支援課はこの他にも、情報提供に関し大きな仕事をしています。
ふるさと福島の情報を提供することは、何となく不安な状態を改善するだけでなく、いつかは帰還するにしても避難先に永住するにしても、将来の方針を決める大切な要件です。
そこでまず地元紙(『福島民報』と『福島民友』新聞)が送付されました。避難先の公共施設等、46都道府県の図書館など約350ヵ所に地元紙を送ったのです。また県内外の避難者(約3万5千世帯)に、避難元市町村の広報誌などを戸別送付しております
さらに県は、A4判6頁ほどの避難者向け情報紙『ふくしまの今が分かる新聞』(写真参照)を、隔月に約8万部ずつ発行しています。福島県の復興状況や避難者支援の取組等を紹介するもので、避難者世帯への戸別送付のほか、避難元・避難先の市町や公共施設等に配置するだけでなく、県のホームページにも掲載してあります。
こうした福島県避難者支援課につき「アスチカ」は、2021年に発行した『広島に避難してきた私たち』の中で、関りが始まった時期を2016年4月とし、福島県との連携・情報共有を確認しています。
また、一般社団法人「ふくしま連携復興センター」もあります。これは東日本大震災・東電福島第一原子力発電所事故により被災した地域や被災者の自立的復興を目指し、20011年7月に福島大学や福島県内のNPO法人などとともに設立された団体。様々な支援のコーディネートやネットワークづくり、あるいは情報の発信や事業の連携などの協働作業を推進するようサポートする「中間支援組織」として活動しています。
その他、NPO法人「ビーンズふくしま ふくしま子ども支援センター」もありますし、これまでに何度も触れた「チームふくしま」も一種の支援組織といえるでしょう。
それでは来年は広島の中国電力(株)につき、やや詳し目に述べさせて頂く予定です。
皆さんどうぞ、よい年をお迎え下さい。
福島の避難者支援課多忙なり 県外に二十六拠点をもちて
広島の避難者の会「アスチカ」は山口・島根も担当の拠点
官でなく民にも支援者一例は ふくしま連携復興センター
(2023.12.7.)