文士刮目の連載54回目「日本初の高市早苗女性首相の船出に思う」 伊神権太(フロント写真は自民・維新の連立合意を報じた新聞)

 自民党の高市早苗総裁が先日(10月21日)の衆参両院本会議の首相指名選挙で自民、日本維新の会による電光石火と言っても良い連立政権による第104代首相に選出されました。女性の首相就任は憲政史上初だけに国民の期待は大で支持率も高く、日本じゅうが沸き立っているようにさえ感じます。所信表明演説でも「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す。絶対に諦めない決意をもって、国家国民のため、果敢に働いてまいります」と強調。同時に自らの内閣を【決断と前進の内閣】ともはっきり言ってのけました。その意気と言やよし、でやる気まんまん内閣とでも言えましょうか。
 私だけではなく、日本国民の多くが高市首相のこんごの手腕に胸弾ませ、期待感をもって見守っている。このことは間違いないと思います。海外でも多くの「目」が日本の新しい政治を見ていることは確かです。というわけで、私はなぜか高市首相誕生に、かつて長い新聞記者生活を含む人生航路でお会いした多くの女性のあの顔この顔が目の前に浮かび、当時のはつらつたるお一人ひとりの姿が目の前に浮かび、あらためて「楽しく生きがいに満ちた」彼女らの前向きな姿を思い出し、その生き方は私の人生航路にも多くの示唆を与えてくれたのでした。そこで今回はお会いした方々の何人かを上げ、振り返ってみましょう。みなさん。偉大な女性ばかりです。世の中は女性のおかげがあればこそ、と。そんなことを思ってしまいます。

新内閣の正式発足で記者会見する高市首相=NHKテレビより

 先ず三重県志摩半島で記者生活をしていた当時。沖縄が日本に返還されてまもなく。田中角栄首相の日本列島改造論が華やかだったころで、オイルショックが私たちの生活を襲いスーパーからトイレットペーパーが消え、連日人々が行列を作るなど大騒ぎしていた、そのころの話しです。当時、真珠の海・英虞湾を一望とする賢島の志摩観光ホテル一室に閉じこもり「華麗なる一族」の執筆に励んでいた作家山崎豊子さんの一途な姿が瞼に浮かびます。よくホテル内の喫茶室に当時まだ若かった私を誘って下さり、コーヒーを頂きました。彼女は「あなたといると、なぜだか落ち着く。気が休まるのよ」と話され、私はただ黙って山崎さんの前に座り、コーヒーをごちそうになったものです。そんなこともあって私は後日、彼女が書いた小説の一部「大地の子」などの盗作問題が社会問題化した時など、あくまでそんなことは信じられないーと反論したものです。
 そして。次にお会いしたのが、私が岐阜在職時(岐阜県警と本巣郡の担当)、長良川木曽川リンチ殺人事件や長良川決壊豪雨、岐阜県庁汚職事件の取材のさなかで当時、全国最多選の女性町長だった〝友さん〟すなわち松野友さんでした。彼女は岐阜県本巣郡穂積町(現瑞穂市)の町長で、豪雨災害で穂積町の牛牧団地が水没し、やっと晴れた際に、私が今は亡き妻がせっせと干してくれた多くの衣類をそっくりそのまま「役立ててください」とダンボール箱に詰め持参した際に「あ~ら、あなた、いいとこあるのね」と心から喜んでくださったあの笑顔が忘れられません。

 岐阜では、もう1人。樹齢1500年以上の国天然記念物淡墨桜の保存に生涯、情熱を注いだ作家の宇野千代さん。彼女も忘れることが出来ない女性でした。千代さんは雨に打たれてなお、大地にしっかりと立ち、花を咲かせる老樹を目の前にこう、言いました。
「イガミさん。あなたは若い。でもね。きっと、そのうち年を取ると分かる日がくると思います。雨にショボショボと打たれて、それでも美しい花を咲かせる。わたくしは老いてなお、花を咲かせ続けるこの桜たちが愛おしくって。大好きなのよ。この淡墨桜の花々をよお~く、見てください。ほらっ、ね。この桜は老いるほどに若返り、美しくなっていくでしょ。ニンゲンだって同じよ。あなたもいつの日か分かるはずよ」と。その言葉が今になると、とてもよく分かる気がするのです。

 そして。最後に今ひとり。忘れられない女性がいます。その人の名は、笹谷輝子さんです。彼女には新聞社の七尾支局長として一家5人で能登半島に在任した7年間、ずっと家族もろとも大変、お世話になり今となれば感謝のしようもありません。北海道から来たテルさん(私は、いつも〝テルさん〟と呼ばせて頂いていた)は、七尾に拠点を構え、やがて家庭も持ち石川県全域の販売店主会長として、日本の新聞界の女傑店主とまで呼ばれた、その女性なのです。
 私は、ここで敢えて言います。これらの女性に共通するもの、それこそがたぎる情熱でした。今回、首相の座を射抜いた高市早苗さんにも同じ情熱が感じられるのです。米大統領トランプさんをはじめとする各国との外交はむろんのこと、国内ではガソリン税の暫定税率廃止に年収の壁撤廃。消費税の見直しと物価高対策……。そして拉致被害者の北朝鮮からの全員帰国。高石新総理には大いに期待。党派を超えて私たち国民みんなを幸せにしてほしく願うのです。

 最後に、もちろん。東日本大震災の時に起きた、あの福島第1原発事故。あのような悲惨極まる事故が2度と起きない安全社会の実現にも全力で取り組んでほしくも思うのです。どうか。くれぐれもよろしく。お願いしますね。(2025/11/7)

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