【安倍、二階派強制捜査 東京地検特捜部 パー券収入 不記載疑い 「裏金」議員関与解明へ 選挙に向けた資金に充当か 安倍派関係者示唆】(12月20日付中日新聞1面見出し)……
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で12月19日、東京地検特捜部が強制捜査に入り、「政治とカネ」をめぐる問題にいよいよメスが入りました。
【安倍派 閣僚ゼロに 4人辞任 党3幹部も辞表 裏金疑惑】【安倍派議員「裏金」認識か 特捜部会計責任者の立件検討 議員受領か電話確認】【安倍派議員の聴取開始 数十人規模 高額還流者から 東京地検特捜部】【安倍派元秘書証言 「還流分 私設秘書給与に充てた」 「手渡しで受け取った」】【安倍派会計責任者認める パー券不記載 地検聴取に】など。このところ新年を前に自民党最大派閥である清和政策研究会(安倍派)の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑を受け、松野博一官房長官ら同派の4人が12月14日に閣僚を辞任するなど最大派閥の閣僚がゼロとなる異例の事態が新聞などマスコミ各社に連日、報じられました。この裏金疑惑、過去5年で5億円ものキックバックがされていた、とのことです。
人間はお金のことになると、どうしてこれほどまでに見苦しく執着するのでしょう。このところ、身から出たサビの如く次から次にと出てくる政治家の裏金にこだわる悪い体質というか。見苦しさと常識外れときたら、開いた口が塞がりません。そして。一部政治家諸氏のお金への執着となると限りなく不透明で、昔も今も変わりません。「清き一票」が根底にあるはずなのに。国民を守るべきはずの政治家諸氏の精神は一体全体、どこへいってしまったのでしょう。
それこそ、政権幹部の疑惑が軒並み追及された35年前のリクルート事件に匹敵する異常事態です。こんなことでは本来、国民の生活を守っていくべき政治という歯車が正しく回っていくはずがありません。日本の政治は、一体全体どうなってしまうのか。有権者として「あなたたちは国民のことを真剣に考えているのか。私利私欲で生きているのではないのか」とさえ言いたくなります。
【安部派裏金強制捜査に 規正法違反容疑 特捜部議員数十人聴取へ 「不記載」派閥指示か】【安倍派「戻し」呼称で還流 派閥・議員側裏金認識か】など。このところの報道に政治と金の問題について、ひとこと言わせてもらいたい。そして。それ以前に、こうした報道に接するにつけ、なぜ、政治家たちは国民から寄せ集めたお金をいい加減に、それも私利私欲に使うのかを問いたい。議員報酬で十分のはずなのに、です。
国民から寄せられたお金を大切にする気持ちがあるならば、今回のようなパーティー券収入などの政治資金収支報告書への不記載など。誰が見ても不正な事態は起きなかったはずです。そればかりか、こうしたキックバックは当然のしきたりだったようで、常態化していたとは。その精神が情けなく悲しくなってきます。
ここで、胸に手をあててみてください。こうした政界の集金システムは、別に今に始まったことではないのです。過去、ロッキード疑獄に続く地方史上最大の汚職事件に発展した岐阜県庁汚職など政治の世界は昔も今も闇また闇、金にまみれた世界であることが改めて実証されたと言ってよいのかもしれません。政治家のパーティーに出席した人々から集まった金を裏金としてキックバックする。政治家諸氏にとって、この甘い集金システムは、もはや当然のことかもしれません。要するに政界は自浄作用もひったくれもないのです。
昭和40年代の後半。三重県志摩半島のある町(現在は志摩市)の町議選で立候補者の陣営がおむすびに千円札を入れて地区の会合で地域民にふるまったことがあります。当然ながら、配った側の陣営の町議は公職選挙法違反で逮捕されました。黒い手を染めるお金の醜い構造は昔も今も何ら変わらないことを改めて思い出し、失望したのは私だけでしょうか。
折も折、思い出すのは、米大リーグのドジャースとスポーツ史上最高額の10年総額7億㌦(発表時のレートで1015億円)の大型契約を結んだ大谷翔平選手のことです。本拠地ドジャースタジアムで入団会見に臨んだ彼は「勝つことが一番大事」と強調。前代未聞の97%を後払いとする契約形態を取ったのも、チームに勝つための補強をする柔軟性さを保ってほしかったからで「ボク自身の優先順位は契約形態から分かるように勝利が一番上です」と言ってのけたのです。
そして。その一方で、です。国民のための政治、国民1人ひとりの幸せが第一目標であるべきはずの政治家諸氏が私利私欲に奔走していたとは。大谷選手の発言をどう受け止めたのか。いちど聴いて見たい気がします。
何はともあれ、清く正しくありたいですね。美しい心でなければ、立派な政治はできません。(2024/1/5)