日録 汚染水海洋放出と原発再稼働を憂いて 2022.02.27 海の奥にまで広がる私たちの悲しみであるなら囁かれる魂の痕跡のうすい先端を誰が掬うのかと跳ねる方角に晒され散りいく水際まで破片が散りばめられきらきら洗われる取り出されないまま奇形になる意識に呼ばれ続ける残骸の不明になる切口にゆがみ稼働されるいくつもの腫瘍に寄生し拡がる
日録 十年目の3・11に 2022.02.27 今年の野原を歩く十年の時の狭間だからまだ肉の残る語りきれない消えた日の時に夢で会うことはありますがもはや帰ることはないので繰り返しを綴る時間のための流れた手のひらの市街地に生していくものたちを繋ぎすでに多くの新しい人と出会った私の場所だと呟く誰かの風と共に鼓
原発「グリーン認定」の波紋と今後 2022.02.24 今回は関電の続き②大飯原発をお届けする積りでしたが、表題の件が気になるので予定を変更させて頂きます。 原子力発電が「クリーン(きれいな)エネルギーだ」という宣伝は、日本に原子力発電所が林立しだした1970年代からありまして、「原発は生活を豊かにするエネルギーだ」というバラ色の夢がばら撒かれました
関電の黒いもろもろ ①美浜原発 2022.01.26 前回は福井県内にある日本原電源について述べましたが、福井県内には関西電力の原発が三カ所に立地しています。美浜、大飯、高浜の三カ所で、商業運転を始めたのは美浜 が最も早いく、1970年11月28日です。三つの中で早いだけではなく、日本の電力会社の中で最初の原子力発電所だったのです。 これには関電
日本原子力発電(原電)の欺瞞癖 2021.12.16 原子力を利用するさいの安全を確保する原子力規制委員会は、去る8月18日の定例会合で、敦賀(つるが)2号機再稼動の前提となる、審査の中断を決めました。審査資料に不適切な書換えがあったからです。 福井県敦賀市にある2号機原子炉建屋直下の断層が、活断層か否かは大きな焦点でした。若狭湾・敦賀湾の浦底断層
瀬戸内海を死の海にするな! 伊方原発の場合 2021.11.12 2021年11月4日、四国電力株式会社(以下、四電と略)の伊方(いかた)原発3号機の運転差し止めの仮処分申請が、広島地裁で却下され運転が認められました。仮処分とは、長い裁判手続きが終わるまでの仮の措置のことです。 瀬戸内海に面した愛媛県西端のこの原発は、私が住んでいる広島県沿岸部西南端の大竹市か
首相の核観とブレを嘆く 2021.10.14 2021(令和3)年10月14日、もう秋の真ん中なのに厳しすぎる残暑の続く午後、衆議院は本会議で解散され、その後の臨時閣議で衆院選の日程が、19日公示・31日投開票と決まりました。 私は選挙運動をするつもりはありません。久しぶりに総理大臣が出たということで、広島の街はなにかとお祝いムードですが、
反核の児童文学作家・那須正幹氏への悼辞 2021.09.10 反核・反戦の児童文学者で作家の那須正幹(なす・まさもと)氏が、去る7月22日、自宅のある山口県防府市の病院において、肺気腫で逝去されました。享年79歳。 那須氏は1942年、広島市生まれ。3歳の時、爆心地から3キロ地点の広島市庚午北町(現・西区)に在った自宅で、母親の背中に負ぶさったまま被爆しま
五輪・国策・避難者 2021.07.10 オリンピック・パラリンピックが間近に迫り、胸をときめかせ待っておられる方も多いことでしょう。 私はどちらかと言えば、最初から反対のほうでした。特定の政党の政策を支持しているわけではありません。コロナ禍が再び大きな拡がりを見せようとしているのに、という懸念はありました。福島の原発事故からの修復が軌
文学大賞受賞作品 読後感 2021.05.12 〈フィクション〉 文学大賞に大きな反響と多くの称賛がありましたこと、大慶至極に存じます。私も蔭ながら拝読しましたので、受賞されたフィクション三篇を初版の新しい方から順に並べて、若干の感想を述べさせて頂きましょう。 谷賢一の戯曲『福島三部作』は、2019年11月、(有)而立書房から出版されました。