第12回 人間の尊厳こそが平和の礎(いしじ)

 何の罪もない人に対する虐殺に暴行、略奪、病院や芸術劇場に対する空爆など、2月24日に始まったロシアの無差別攻撃と言っていいウクライナへの一方的な軍事侵攻を思うにつけ、私は何より大切な【人間の尊厳】はどこにいってしまったのか、と。このことに胸を痛めています。デ、その元凶・ロシア大統領プーチン氏に向かって声高に訴えたい。

 「あなたには人としての良心、人間の尊厳というものはないのですか」と。これを機に、世界中の人々が胸に手をあて思い直してほしいのです。平和の尊さと同時に人間の尊厳の大切さを、です。宇宙からの天体(隕石)衝突が現実に世界の脅威とされるなか、人は互いに尊重し合い、助け合っていくほかありません。「何をとろい(くだらん)ことやっとるのだ。殺し合いなんかはやめなアカンぞ」という名古屋弁が聞こえてくるようです。感染拡大が今ひとつ治まらないコロナ禍はじめ、地球温暖化に伴う気候変動による自然災害が多発する中、人間の姿勢が今ほど問われる時はないのです。なのに、人間同士が殺し合うなど愚の骨頂です。

 私はかつて地球一周のピースボートで1937年4月26日に人類史上、最初の無差別空爆を受けた悲劇の地・スペインのゲルニカ市(バスク州)を訪れ、現地の平和活動団体「ゲルニカ・ゴゴラツス」の代表と空爆生存女性にお会いし、直接空爆時の証言を聴きましたが、女性は「あの日、私は木の下から爆撃機を見ていました。そこには大勢逃げてきた人たちがロザリオを手にお祈りしていました。爆撃が止み町へ行くと、そこは焼け野原と化し、多くの人々が亡くなり、爆弾の前と後では本当に変わってしまいました。私は、これからも世界に平和が訪れるようこうした活動に力を注いでいきます」と体験談を語ってくれました。その話を聴き、無差別爆撃を怒ったピカソが有名な絵画ゲルニカを描いた気持ちがよく分かったのです。

 人間の尊厳といえば、北海道知床半島沖で乗客乗員26人が載った観光船が遭難した事故も荒天を分かっていながら強引に出航し、人間の命を軽んじた結果にほかなりません。昔、「うそ」という歌がありました。国連のグテレス事務総長の仲介の労に対し「核兵器使用も辞さない」構えの〝プーチンの愚かな戦争〟を見ていると、何が真実なのかが分かりません。でも何につけ「冷たいうそのつける人」がいたなら許せません。

 一方で今シーズンはプロ野球がとても面白い。特に岩手出身の大リーグ・エンゼルスの大谷翔平と千葉ロッテの佐々木朗希両選手の活躍が目覚ましいです。大谷は花巻東、佐々木は大船渡高校の出身で、ふたりとも東北が生んだスターだけに、救われる気がします。ほかに立ち上がりこそイマイチでファンにとっては物足りませんでしたが、これからが期待される新生・立浪ドラゴンズ、〝新庄劇場〟の日本ハムも含めプロ野球各チームのだいご味を味わえる。そんな平和な時代が続いてほしいですね。(2022/5/1)

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