連載文士刮目第43回 能登半島地震と豪雨水害の復興応援歌【能登の明かり】がCDに 伊神権太(写真「被災地に勇気を」と報道された中日新聞能登版)

 凶悪な闇バイト事件の続発に始まり、衆議院選での与党の過半数割れに伴う自民一強時代の終結、米大統領選でのトランプ氏のトリプルレッド(米国で大統領職と上下両院の多数派を共和党が占める状態。共和党のシンボルカラーが赤であることから〝トリプルレッド〟と呼ぶ)による圧勝、ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)、アゼルバイジャンで11月11日から22日まで開かれた国連気候変動会議(COP29)、そしてロシア・北朝鮮&ウクライナ、ハマス&イスラエル戦争の混迷泥沼化……と日本も世界も目まぐるしく変転しています。
 そんな中、今回は能登半島地震と豪雨水害という二重の不幸に遭遇してなお、歌の心でたとえ少しでも互いに助け合って、みんなで前に向かって一歩でも踏み出そうとする、そんな試みについて触れてみたい。

 話とは。ことし元日に発生した能登半島地震、そしてこれに追い討ちをかけて起きた9月21日の豪雨水害も合わせた復興応援歌【能登の明かり】のCDがこのほど心ある人々の結晶として誕生、愛知を発信源に能登をはじめ日本全域にその歌声が広く静かに浸透しつつある、そんな話しです。
 このCD制作。作詞者はかつて能登半島の七尾で7年、新聞記者として家族そろって過ごした私、伊神権太で、作曲したのは、琴伝流大正琴弦洲会の大師範でもある牧すすむさん(倉知弦洲氏=本名・倉知進さんは、このほど日本大正琴協会から日本では初の永世大師範第1号を授与され刈谷市文化賞も決定)、歌は岡ゆう子さんです。

歌の収録を前に、最終調整をする作曲者牧すすむさんと歌手岡ゆう子さん。

 そして。今回のCD化に当たっては、もう一人。忘れてはならない方がいます。その人は正月元日の能登半島地震で自宅全壊の悲劇に遭いながらなお、辛うじて助かった車庫二階の自室で仮設住宅暮らしの傍ら愛用のギターを胸に、歌の編曲に携わってくださり、CDジャケットの写真提供までしてくださった輪島市在住の安本和秋さん=元輪島市職員=その人です。
 彼は門前町役場(現輪島市)職員だった当時から役場職員有志で構成する「門前バイストリート・バンド」の主要メンバーとして活躍。今回の地震では自宅が全壊した中、牧さんと私の求めに応じ愛用のギターを胸に「ふるさと能登を元気にせねば」と、その一念で仮設住宅暮らしをしながら復興応援歌【能登の明かり】の歌の編曲に一役、作曲者の牧さんと歌手岡さんの間に立って何度も編曲の修正に役立ってくださったのです。

 そればかりか、ご自身が撮影した春になると白い雪のなかから花開く雪割草で知られる輪島市の琴ケ浜(この浜は歩くと砂がキュッキュッと泣いているような音を出すので〝泣き砂の浜〟でも知られる)の写真提供にも一役。こうした努力が結集して、このほど歌手岡ゆう子さんによる歌の吹き込みが名古屋市内で実現。能登への思いが人から人へ、とバトンリレーされ、復興応援歌【能登の明かり】が誕生したのです。

「能登の明かり」の収録をする岡ゆう子さん。=名古屋市内の神宮前レコーディングスタジオで)

 というわけで、能登半島の復興応援歌【能登の明かり】のCDは、多くの善意に支えられて誕生。作詞者の私としては、この先一人でも多くの方々に口ずさんで頂けたらと願っている次第。ちなみに。このCDジャケット「能登の明かり」のその後ですが。誕生後は牧さんの大正琴の門下生はじめ、私(伊神)の出身校である愛知県の私学滝高校のクラスメート、その他私が住んでいる江南市花霞町内会有志、さらには七尾市民らによる協力の輪が日に日に拡大、地元紙(中日新聞)の報道などで知った多くの人々をはじめ、和倉や輪島、七尾、能登、珠洲など能登半島全域で〝歌の輪〟が少しづつ開花。ユーチューブでも聞くことが出来、深く静かに浸透しつつあります。

 最後に。この歌の誕生をきっかけに、私はかつてこの能登でお世話になった一人の市民としても、この歌の輪がこの先、限りなく大きく広がっていくのを願っています。そして。この復興応援歌が真に能登半島全域の再出発の手綱になれば。それほど嬉しいことはない。
 というわけで、この「能登の明かり」。少しで多くの皆さまに口ずさんで頂ければ、それ以上の喜びはないとぃってよいでしょう。

♪昨日も今日も いつの日も
 あなたの笑顔が ここにある
 海女の磯笛 かもめの唄よ
 和倉 朝市 一本杉が
 強く生きてと ささやきかける
 能登はやさしや どこまでも
               =3番から

出来上がった「能登の明かり」のCD。

(2024/12/6)

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