連載 原発の蔭と影第11回 「チームふくしま」の活動と広島 天瀬 裕康

 前々回、つまり<連載>の第9回におきましては、<福島への移住者>と題して「福島ひまわり里親プロジェクト」(以下、プロジェクトと略す)のことや、「チームふくしま」の半田真仁しんじ理事長についての概略をご報告しました。
 そこで今回はチームのプロジェクト以外のいろいろな仕事・社会貢献や、「チームふくしま」の他のメンバーや同調者、拙宅への来訪者などについて述べてみましょう。

 第9回で触れたように、福島県には「福島を盛り上げていく」若手経営者の集まりがありました。それが大震災直後から、より一層「なにかやろう!」と急き立てられました。
 当初、放射能の情報はテレビなどに流される政府の発表に頼っていましたが、自分たちも測りたいと思い、半田氏は大阪の放射能の器械を扱う会社に買いに行きます。会社は、個人には売らない方針でしたが、事情をよく説明すると同意が得られました。その翌日から消防庁などの大量買いが始まり、ばら売りの余裕はなくなったそうです。
 半田氏らは毎日、測定値をホームページに発表し、「福島の安心を守る会」を立ち上げましたが、そのうちに行政機関の測定が始まり、個人やグループによる測定も増えたので「福島の安心を守る会」は終了にします。次いで始めたのが「福島ひまわり里親プロジェクト」でしたが、福島以外の新聞で初めてこれを取り上げたのは、2011年5月15日に倉敷市の玉島商業高での講演を基にした、5月19日付『山陽新聞』(岡山)でした。
 次いで同年6月221日付『中国新聞』(広島)が、プロジェクトや半田氏の紹介記事を載せ、同月28日付の同紙には、広島近郊の海田かいた町の「ひまわりの会」が、プロジェクトに協力し、種を撒いたことを報じていました。また、翌2012年6月2日付の同紙では、広島市西区の古田ふるた中で発起人・半田氏のプロジェクトについての講演を報じています。
 以後、この運動は全国各地に広がっていきますが、他の分野では如何でしょうか。
 まず出版では、以前に報告した以外にも、はら きょうこ作『たびくまとひまわりばたけ』(しまや出版、2013年3月)や、絵と物語チャンキー松本、ルポ・中島敏子、監修・半田真仁の『ぼくのひまわりおじさん』(発行・文屋、発売・サンクチュアリ出版、2018年8月)などがあります。さらに『ひまわり新聞』も刊行しています。
 「ひまわりカレー」とか、「ひまわり結婚式」はなんとなくイメージが湧いてきますね。カレーには「ひまわり油」が入っていますし、結婚式は福島県田村市にある佐久間辰一氏の広大な「ひまわり畑」などで行うものです。「ひまわり甲子園」といえば「俳句甲子園」のようなものが頭に浮かびますが、真剣勝負で優劣を競うのではなく、ひまわりを栽培し、復興を支援した体験を発表する場だと思ってもよいでしょう。
 「ひまわり防災検定」は 3.11の教訓を生かし、地震・津波・台風などの自然災害に強い国づくり・地域づくりを目指す取組みで、1~3級まであります。2022年3月11日から始動し、今年、2023年2月現在では、3級の申し込みを受け付け中との由です。他にも重要なものがありますが、長くなりそうなので、回を改めてご報告することに致しましょう。

 さて冒頭で述べた「チームふくしま」の他のメンバーや同調者のことですが、じつはこの9月7日(木)の午後、半田真仁理事長を筆頭に「チームふくしま」の他のメンバーや、同調者の方たち計11人が「ヒロシマ勉学」のため拙宅を訪れられたのです。
 半田理事長の他は、大和田勲おおわだ・いさお副理事長、堀内孝勇たかお副理事、小嶋道範みちのり理事、相馬由寛よしひろ中小企業診断士、支倉はせくら文江理事、馬場桃香ももかさん、山田沙也加さやかさんの7名と、 尾道市の渋谷晋太郎氏、佐藤博章ひろあき新生佐藤農園代表、友岡こずえトモ・コ―ポレーション取締役の総計11人でした。 
 この日の演題は<「ひばく」について>で、レジュメとしては Ⅰ.1945年8月~の状況、
Ⅱ.マルセル・ジュノー博士研究会、Ⅲ.核戦争防止国際医師会議、Ⅳ.脱原発社会をめざす文学者の会、としました。しかし時間の関係もあり、Ⅰ.の被爆体験が大部分、Ⅱ.は半田理事長と私の縁が生じた部分だけ、Ⅲ.は体験から入会したこと、Ⅳ.では短期大量ひばくの原爆と、長期少量ひばくの原発の違いがあることを伝えた程度です。
 そのあと窓から爆心地の方角を眺めながら、被害状況を説明しました。現在住んでいるマンションの9階は、爆心から2kmの範囲内で、追体験には最適の場所なのです。
 私のほうは、福島復興・福祉活動に挺身しておられる人たちと身近に接し、まことに有益な一刻を送ることができたのでした。

非核燃料ひまわりもまた手を挙げよ タネを絞りてクルマ走らす
田村市の向日葵畑で夏ひらく 結婚式のあでやかなりと
原爆を許すことなかれ原発も 爆と曝との違いはあれど
                                 (2023.9.9)

関連記事

最近の記事new

  1. 報告 たどり着いた街で~東日本大震災追悼式 野武 由佳璃

  2. 連載 原発の蔭と影第18回 中国電力出発 天瀬 裕康

  3. 反原発詩抄 その4 (読人不知)

TOP