連載文士刮目第41回【刷新とは。これいかに「日本が生まれ変わる時」】 伊神権太(写真 「自民総裁に石破氏」を報じた新聞)

 9月23日の立件民主党代表選に続き、27日には自民党総裁選も終わり、世の中は【刷新】といった言葉が声高に叫ばれています。では、刷新って。どういうことを言うのでしょう。
 立憲民主党臨時党大会で新代表に選ばれた野田佳彦さん(67)が第一声で「代表選が終わった今はノーサイドでみんなの力と心を合わせ打倒自民党に向かっていきたい。本気で政権を取りにいく」と話せば、5度目の挑戦で念願の自民党総裁を射止め、角栄先生=田中角栄元首相=を〝師〟とあおぐ石破茂新総裁(67)も「国民を信じ勇気・真心をもって真実を語り、日本をもう一度みんなが笑顔で暮らせる国に」と負けてはいません。同年の二氏の発言には「その言やよし」と思った人も多いに違いありません。

 ところで今回の代表選と総裁選ですが。私は、核心は【政界の刷新】にあるかと思います。そうした空気もあってか、選挙戦の過程では『世襲は刷新にはあらず』などといった声が聞かれたのも事実です。選挙期間中は、当然の如く多くの論戦が繰り返されました。そして。こうした選挙戦さなかの折も折、先月21、22日にはことし元日に起きた能登半島地震の発生に続き、またしてもこともあろうに輪島、珠洲両市と能登町を中心に線状降水帯による記録的な能登豪雨水害が発生。能登の人びとが地震から立ち上がろうとしている、まさにその矢先での悲劇で、なんということなのでしょう。一方、この間の政界はと言えば、です。民主党代表選に続き自民党総裁選があり、日本社会は、めまぐるしく変転推移し、新しい日本丸が新たに動き始めたのも事実です。
 一方でこうしたなか、米大リーグの大谷翔平選手は「50本塁打、50盗塁」いわゆる(フィフティー・フィフティー)の偉業を達成(9月末現在では54本塁打、59盗塁)。暗い話題が相次ぐなか、どこかホッとさせられました。とはいえ、東日本大震災発生に伴う福島第一原発事故の核燃料デブリ取り出しの大幅遅れなど。なんだか、負の連鎖ばかりが目につきます。そして、この燃料デブリ取り出しの大幅遅れは、私たち人間社会の幸せが根底から揺さぶられ、どこか遠いところに置き去りにされてしまったような、そんな錯覚すら覚えます。

 では、こうした不安極まりない社会に生きる私たちは、この先これらの険しい道をどう克服し【人間らしい幸せな社会】を切り開いていったらよいのか。このところの自民党総裁選では選挙期間中、総理をめざす政治家諸氏は▶東京一極集中や世襲議員の是非に始まり、▶地方の雇用底上げ▶経済成長による国民への負担軽減▶政治の〝見える化〟さらには▶沖縄の専守防衛―などにつき、アレヤコレヤと唱えてこそはいましたが、今まさに政界に問われているのは「何か」となると十分には絞り切れていない。そんな気がしてなりません。
 というわけで、私は、これからは刷新社会こそが望まれ、日本の政治もこれまたしかりだと思うのです。それだけに、今回の民主党代表選、自民党総裁選を機に今こそ、政治家諸氏は手と手を携え、日本の再生と刷新に向けて大きな一歩を踏み出す時が訪れた、と。そんな気がしてなりません。

 付け加えれば、今回の総裁選は、派閥なき無派閥選挙として初めて実現。高市早苗経済安全担当相や上川陽子外務大臣ら女性候補の頑張りもあり、女性議員の台頭はあの土井たか子さん、田中真紀子さん、古くは婦人参政権の実現に力を尽くした故市川房枝さん時代の再来をさえ思い起こさせるパワーを感じさせる力強い選挙戦で、日本はまだまだ期待が持てるとの実感も受けました。事実、自民党総裁選ではなんと前代未聞の9人もの候補者が出て論戦を展開。各候補とも自ら論じたことを胸にこの先もそれぞれの信念と刷新を貫き通し、福島第一原発事故その後と能登半島地震・豪雨水害の復興も含め、この社会を少しでも良くして頂ければ、と願います。9日に衆議院解散、15日公示、27日には投開票、とのこと。真の「刷新」に向け、もはや一瞬の躊躇も許されません。待ったなしです。
 最後に。今回の立憲民主党代表選と自民党総裁選を見る限りでは、日本の政治は、曲がりなりにも少しは前進したと言っても過言ではありません。でも、ひと口に刷新といったところでそう簡単にはいきません。それだけに、今後の政治をどうしたらよいのか。政治家諸氏には今こそ、そのことを胸にこれからの明るく平和で幸せな社会創造に立ち向かって頂きたく願います。国から、れっきとした議員報酬はおろか政党助成金まで出ているのに、政策活動費とか調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)など。私たち庶民感覚からすれば論外、もってのほかだと思いますが…。いかがでしょう。
 何はともあれ、今こそ、汚れきった政界を正す夜明け、浄化が待たれます。東日本大震災発生に伴う福島第一原発事故その後も合わせ、さあ。みんなで幸せな社会の到来を待とうではありませんか。

地元新聞は号外を出した。

(2024/10/4)

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